解決事例:相続財産清算人の選任が必要となるケース

事例
2024.08.23

ご相談内容

10人が共有持分を有する不動産について、共有者のうち1名(A)が死亡したが、亡Aには相続人がいない。残された共有者としては、共有不動産を売却したいが、亡Aの共有持分を処分できない状況では不動産の売却手続に支障が生ずるため、何とかしたいとのご相談。

解決

このような場合は、お亡くなりになられた方の相続財産を処分する権限を有する「相続財産清算人」の選任を申し立てることが考えられます。
ご相談の事例では、残された共有者のうち1名からのご依頼を受け、他の共有者のためにも、家庭裁判所に対し、相続財産清算人の選任を申し立てることとなりました。
そして、家庭裁判所から選任された相続財産清算人の協力を得て、何とか共有不動産を売却することができ、売却代金から諸経費を差し引いた金額を、相続財産清算人を含む共有者全員で分配することができました。
また、相続財産清算人が手にした分配金(亡Aの相続財産)から、相続財産清算人の報酬を差し引いても残りがある状況であったため、共有者1名だけで負担していた弁護士費用(相続財産清算人選任のための申立費用)を、共益費用として、亡Aの相続財産の中から支払ってもらうことができ、共有者1名だけが多額の負担をしているという不平等状態も解消することができました。
ご相談の事例では、相続財産清算人の協力を得ることにより適切に相続財産を処分することができましたが、もし共有不動産を処分せずに長期間放置してしまっていたら、他の共有者についても相続が発生するなどして権利関係が複雑化し、共有不動産を処分することがますます難しくなってしまっていたと思います。
相続人がいないために処分できない財産があっても、相続財産清算人の選任を申し立てることにより、適切に相続財産を処分することが可能となります。
お困りのことがございましたら、まずはお気軽にご相談をいただければと思います。

(弁護士 岸 祐司)

相続についてもまずはお気軽にご相談ください。
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